目次
1人に向けて伝えたものが多くの人に響く
「誰に(ターゲット)」と「何を(ベネフィット)」の2つからまず考えるべき
マーケティングの本来の役割は「市場創造」
「届けること」ではなく「市場を作ること」
単に必要としている人にモノを届けるだけでなく、マーケティング固有の役割は**市場創造(市場の再創造)**にあります。
消費者は自分が欲しいものを具体的には分かっていない
消費者は「家族で出かけるいい車が欲しい」といった大枠のニーズは持っているものの、具体的に何が欲しいかまでは自覚していません。例えば、ミニバンが普及したのも消費者が求めたからではなく、メーカー側が「子どもやペットと一緒に楽しめる車」という新たな提案をしたことで、消費者が重視する属性(高級感や静粛性から、室内の広さや楽しさへ)の順位が入れ替わった結果です。
業界1位を奪取するための条件
既存の物差しで勝とうとしても1位は奪えない
消費者が重視している既存の項目(トップ5の属性など)において、現在の1位より優れたものを作れば勝てると思われがちですが、その方法で1位を奪取できた例はありません。
「いい商品の定義」を変える
1位が入れ替わるときは、必ず重視される属性の順位が変わり、「何がいい商品なのか」の定義そのものが書き換わったときです(例:ビールの「美味しい」の解釈をキレやコク、達成感の演出で再定義したアサヒスーパードライなど)。
「機能」と「ベネフィット」の混同を防ぐ
主語の違い
「機能」は主語がブランド・商品側(例:300馬力、紙おむつの漏れが20%低減)であるのに対し、「ベネフィット」は消費者が主語です(例:赤ちゃんが快適に機嫌よく過ごせる、親が夜ぐっすり眠れる)。
4Pから考えない
商品仕様や価格などの「4P」から考え始めると判断基準を失ってしまいます。まず「誰に」「どんなベネフィットを提供するのか」を明確に定め、その手段として商品開発や宣伝・広告が存在します。
ターゲットは「たった1人」に絞り込む
広く狙うとリソースが薄まる
多くの人に届けたいからとターゲット層やメディア展開を広げすぎると、限られた予算や労力が薄まり、結局誰にも届かなくなります。
1人に向けたものが全体に響く
アーティストの鈴木雅之氏がライブで会場の1人に向けてバラードを歌うことや、『不思議の国のアリス』が特定の少女1人のために書かれたように、特定の誰か1人が喜ぶ姿を徹底的に想像して放ったものこそが、結果として何十万・何百万もの人々に深く響きます。
プロダクトアウトかマーケットインかは「ビジネス構造」による
どちらのアプローチが優れているかではなく、工場の設備投資規模や製品の賞味期限・損益構造に依存します。
一度のライン変更に莫大な投資が必要なP&Gの洗剤などは厳重な事前調査が必要ですが、賞味期限が短く小ロットで作れるダノンのヨーグルトなどは、調査を重ねるよりも実際に市場に出して試す方が効率的です。
無意識のニーズ(インサイト)の掴み方
人間の行動は「自然現象」
消費者の行動は気まぐれに見えても普遍的な心理に従っています。
建前と言動のズレを観察する
雑誌の1番上ではなく2冊目を何となく取ってしまう心理のように、アンケートには出てこない無意識の行動を真摯に観察し、自分自身の内省や仮説検証を重ねることでインサイトが見えてきます。
参考
【高橋弘樹vsマーケティング】P&G・資生堂の元マーケティング責任者が明かす「ヒット商品の秘密」…世界的企業で培ったマーケティング戦略とは?【ReHacQ R大学】